・マーケティングで活かせる。
・自分の選択を見直すことができる。
・社会に流されにくくなる。
・自分で考えられるようになる。
ナッジとは?
ナッジとは、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャのあらゆる要素
選択アーキテクチャとは、「行動科学を活用し、人々の行動を望ましい方へ導くための環境設計のこと」です。
例を挙げましょう。
例えば、クラスからPTA役員・委員を選ぶとき一番選ばれやすい人は出席番号が一番上の人か下の人です。
なぜ、こうなるのか?
理由は、簡単に選ぶことができるからです。
他の例も挙げておきましょう。
携帯の契約をするときを思い出してみてください。
携帯の契約は色々やることがあり、何を選んでいいかわからないこと多いですよね。
ここではA〜Cのプランがあると仮定し、順に値段が上がっていき(A<B<C)、順に紹介されたとします。
よくわからないから、値段が真ん中のBもしくは全て聴く前にAを選んだ経験はないでしょうか?
もしくは選ぶ人多いのではないでしょうか?
このように、人はあらゆることを検討せずに、わかりやすいものだけで選択します。
もっというと簡単に選択できるものを選ぶのです。
だから、望ましい選択をしてもらうためには、ナッジを使う必要があるのです。
なぜナッジは必要なのか?
先に少し話してしまいましたが、人は合理的な生き物ではありません。
人の判断には偏り(バイアス)があります。
バイアスをいくつか紹介します。
人は何かを判断するときに経験則を使います。
経験則で正しい判断をすることもありますが、間違うことも多々あります。
経験則を使うときに生じやすいバイアスが以下です。
・アンカリング効果…直前の情報によって、意思決定が変わること。
・利用可能性ヒューリスティック…思い出しやすいものや入手しやすいもの、目立ちやすいものを重要だと思うこと
・代表性ヒューリスティック…似ているものを重視する
アンカリング効果
「あなたはどれだけ幸せですか?」
「あなたはどのくらいデートしていますか?」
この順で質問した場合、幸せ度とデートの回数は比例しないが、入れ替えると比例します。
要するに、順番を変えるとデートの回数が多い人ほど、幸せ度を高く評価するのです。
別の例を出すと、値段を見る順番も大事です。
9万円をみてから5万円をみるのか、1万円をみてから5万円をみるのかで同じ5万円でも印象が変わります。
利用可能性ヒューリスティック
以前に解説している記事がありますので、こちらの記事をご覧ください。
※上記の記事もノーベル経済学賞を受賞している、ダニエル・カーネマンの本「ファスト・アンド・スロー」を参考視しています。
ちなみに、ナッジでも引用されている名著です
代表性ヒューリスティック
以下の質問に直感で答えてみてください。
リンダは大学時代に社会的問題に関心があり、社会的な活動にも参加していた。大学卒業後のリンダの姿として、次の説明の中から最もふさわしいのはどれでしょう。
※フェミニストとは多様性を志向する人。
選択肢
(A)リンダは銀行窓口係である。
(B)リンダはフェミニスト運動家で銀行窓口係でもある。
多くの人はBを選びます。
なぜなら、Bの方がリンダらしい姿だからです。
しかし、少し考えると、Aの方が確率が高いことに気がつくと思います。
AはBを内包しているからです。
銀行窓口係をP集合、フェミニスト運動家をQ集合と置くと
・選択肢A=P
・選択肢B=PかつQ
となり、選択肢Bであるためには選択肢Aであることが前提条件になります。
だから、Aを選ぶのが正しいというわけです。
楽観的で自信過剰
人は自分は平均以上だと思っています。
わかりやすいのが顔面偏差値です。
多くの人は自分は平均よりちょっと上だと自分のことを思っているでしょう。
私の知り合いに、人生で一度も告白されたことも、恋人がいたこともないアラサーの友人がいますが、その人も自分は平均よりマシだと思っています。
他のバイアスをかくとバイアスだけ読むのが疲れると思うので、紹介だけしておきます。
・損失回避バイアス
・現状維持バイアス
・メンタルアカウンティング
・情報カスケード
良いナッジとは?
さて、ナッジと必要性がわかったところで、良いナッジとは何かを解説しましょう。
結論からいうと、
・簡単であること
・マッピングしやすい
・楽しいこと
・キュレーション
簡単に選べること
最初に出した、PTAの例を思い出してください。
出席番号の最初の人と最後の人が選ばれやすいのは選ぶのが簡単だからでした。
つまり、人は何かを選ぶ時には簡単でないと困るだけでなく、簡単でなければ行動しません。
では、簡単にするにはどうしたらいいのか?
それは、「デフォルトに設定する」ことです。
例えば、何かのサイトに登録したときに、「メールマガジンの配信を希望する」にチェックが入っています。
その理由はデフォルトに設定することで、メールを受け取ってくれる人が増えるからです。
メールの配信がうざったいなと思っても、メールマガジンの配信を停止するのはめんどくさくて、メールを受け取り続ける人は多いです。
逆に、デフォルトが配信を希望しないになっていたら?
メールを受け取る人の割合はかなり減るでしょう。
マッピングしやすい
選択と選択によって生まれる結果がわかりやすいかです。
例えば、資産運用をするとしましょう。
・多めの債券と株式に投資する(債券の割合が多い)
・債券と多めの株式に投資する(株式の割合が多い)
・株式のみに投資する(株式だけ)
この選択肢から(投資商品は他にもあるが、わかりやすくするために2つ商品のみ)選択をした時に、
・将来どれくらい資産が増えるのか
・リスクはどれくらいなのか
がわかりやすいかということです。
キュレーション
キュレーションとは、情報を選んで集めて整理することです。
つまり、選択肢をわかりやすい形にして、悪い選択肢を排除することです。
行動経済学で有名なダン・アリエリーさんがマサチューセッツ工科大学(MIT)の大学院生を被験者に行った実験を紹介します。
①エコノミスト誌オンライン版の年間購読:59ドル
②エコノミスト誌印刷版の年間購読:125ドル
③エコノミスト誌印刷版とオンライン版セットの年間購読:125ドル
みなさんなら、どれを選びますか?
マサチューセッツ工科大学(MIT)の大学院生たちの回答結果は以下のようになりました。
①:16%
②: 0%
③:84%
125ドルで印刷版とオンライン版が読めるのであれば、③がお得に感じます。
しかし、②の選択肢を除外して選択肢を2つにします。
①エコノミスト誌オンライン版の年間購読:59ドル
③エコノミスト誌印刷版とオンライン版セットの年間購読:125ドル
どうでしょうか?
①がお得に感じられます。
実際MITの大学院生の選択結果は以下のようになりました。
①:68%
③:32%
選択肢の中におとりになる選択肢を入れることで、人の行動を変えることができます。
「おとり効果」とも言われます。
選ぶ側からしたら、おとりなんか入れんな!って感じですよね。
これがキュレーションです。
悪い選択肢をなくすことで、良い選択をしてもらうことができるのです。
楽しいこと
なりたい職業の順位でトップを走り続けているのがプロスポーツ選手とYouTuberですね。
どうでしょう。
この2つの職業はやっている人は楽しそうに見えませんか?
他の職業が辛そうに見えるとかではなく、単純にこれらの職業をしている人は楽しんでいるように見えます。
人がすすんで行動を取るのは「楽しそう」に見えるからです。
ではどうやって楽しそうに見せるのか?
・遊びのように見せること
・好奇心を掻き立てること
・ドキドキ感やワクワク感
コピーライティングに似ていますね。
YouTuberで例を挙げるのであれば、
・遊びのように見せること = 巨大アスレチックで遊んでみた
・好奇心を掻き立てること = 〇〇で10万円使うまで帰れません。
・ドキドキ感やワクワク感 = 〇〇にドッキリ仕掛けたらどうなるのか!?
全てありますね。
特定の好ましい選択をしてほしいのであれば、その選択肢を楽しそうに見せるべきなのです。
まとめ
今回はナッジについて解説しました。
この本はメンタリストDaiGoさんもおすすめしていた本なのでぜひ読んでみてください。
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