ファスト・アンド・スロー(下)を分かりやすく要約してみた。
こんにちは、くらぴょんです。
今回はファスト&スロー(下)の解説をしていきます。
下記の記事で行動経済学の本をまとめていますので、興味があればそちらも読んでみてください。
今回解説する「ファスト・アンド・スロー」は、ダニエル・カーネマンというノーベル経済学賞を取得した方が書かれた本です。
行動経済学の基盤となるもので、ベースの本というべきでしょうか。
なので、行動経済学を勉強する人は必読の本です。
分かりやすくいうと、5教科(国語・数学・理科・社会・英語)のようなものです。
中学生・高校生は必ず勉強しなければなりません。
ファスト・アンド・スローは経済・心理学を学ぶ人にとっての主要5科目の一つのようなもので、必読書です。
・ファスト&スローとはなんなのか
・人はどのように行動を決めているのか
これらについて理解することができます。
そして、この本だけではなく行動経済学を理解する上でも重要なところなので、半分だけでも読むとあなたの理解のサポートになると思います。
さて、今回ですが、前回の内容で話した利用可能性ヒューリスティックをどう防いだらいいのかを解説します。
利用可能性ヒューリスティック以外でも、我々のバイアスを防ぐサポートをしてくれる思いますので、ぜひ読んで試してみてください。
外部情報に基づくアプローチ
利用可能性ヒューリスティックの中でも話したように、私たちは思いついたことだけで判断する傾向があります。
オーガニックと聞いただけで体に良いと思いがちですが、そうでない商品の方が栄養価が高く、健康に良い場合もあります。
また、自分の経験からどれくらいでできるか計画を立てるが、結果長引いてしまった。
終わらなかったという経験はありませんか?
筆者のダニエル・カーネマンはイスラエルでカリキュラム制作と教科書執筆のプロジェクトをする機会があったそうです。
このプロジェクトを最短で1年半、最長で2年半でできるとチームの人は考えていました。
その中にセイモアという、カリキュラム作りのエキスパートの人がいました。
彼に、カーネマンは「他のチームが完成まで何年かかったか?」と質問をしました。
すると、「失敗に終わる割合は40%。7年以下のチームはなかった。だが、10年かかったチームもなかった。」
この地点で、自分達の情報(内部情報)だけではかなりの乖離があることがわかると思います。
次にカーネマンは次のように聞きました。
「これまで見てきたチームと比べて、どの程度のランク付けになりますか?」
セイモアはこう答えました。
「われわれは平均以下だ。だが、大幅に下回っているわけではない。」
ここで大事なのはセイモアも最初の予測は2年半以下の範囲に収まっていました。
実際このプロジェクトがどうなったかが気になりますよね。
結果は完成しました。かかった期間は8年でした。
このように自分達のプロジェクトのめぐる固有の状態だけ(チームの能力やカリキュラムの内容など)注目し、自分自身の経験から手がかりを探そうとするやり方を「内部情報に基づくアプローチ」と言います。
自分たちのケースに固有の情報を持っている場合、そのケースが属すクラスの統計データ(外部情報)も知っておこう、と考える人は滅多にいないとカーネマンも述べています。
計画のミス(計画の錯誤)を減らす方法
計画のミス(計画の錯誤)を減らすにはどうしたらいいのか。
※計画の錯誤とは以下のもの
・ベストケース・シナリオに非現実的なほど近い。
・類似のケースに関する統計データを参照すれば改善の余地がある。
計画の錯誤を減らすには、
類似のプロジェクトから推定することです。
私も学生時代よくやりました。
大学での製作物が大体1週間でできるだろうと考えていたものが、1ヶ月かかってしまったなんてことたくさんあります。
「毎回計画ミスるな」と思っていました。
他の学生がどのくらいでできるかを聞くことが一番計画の錯誤を減らす効果があったということです。
「もっと早くこの本に出会いたかった」(独り言)
私たちが使うとしたら、料理をするときや子供の宿題、仕事や趣味の計画をするときに使えると思います。
また、長期であればあるほど「外部情報」は効果的になるでしょう。
プロスペクト理論
プロスペクト理論とは
リスクを伴う選択肢の間でどのように選択が行われるかを説明した理論です。
わかりやすくいうとプロスペクト理論は3つの要素があります。
・参照点
・感応度逓減性(どれくらい変化を感じるか)
・損失回避
それぞれ、説明していきましょう。
まず参照点から。
参照点
人は何かを評価するとき、単独で評価することはできません。
学校のテストの点数が高いか低いかはそのテストの平均点がわかるから、自分の点数が良いか悪いかが分かります。
具体例を挙げると、あなたが数学で80点取りました。
このとき、数学の平均点は46点だったら、あなたの成績は良いということが分かります。
国語のテストが返ってきました。
国語の点数も数学と同じ80点でした。
ただ、平均点は89点ととても高い点数だった場合、あなたの点数は低かったことになります。
平均点89点のテストを作る先生はいないと思いますが。
このように、人は単独で物事を判断するのではなく、何か(参照点)と比べて相対的に判断しています。
比較する方が、簡単に評価できるからです。
感応度逓減性
簡単にいうと、どのくらい変化を感じるのかということです。
例えば、あなたはABCマートに居て、2000円の靴を買おうと思いました。
しかし、10分車で移動すると500円安く売っているお店があることが分かりました。
あなたは、店舗を変えて買いますか?
続けてもう一問。
次にあなたは100万円する婚約指輪を買いに、ハリーウィンストンに来ています。
ですが、車で10分移動したら、500円安い、99万9500円で買えると分かりました。
あなたは移動しますか?
最初の質問では「移動する」と答えたのではないでしょうか?
2つ目の質問では、「移動しない」と答えるのではないでしょうか?
これ、私の友人に1つ目の問題を聞いて、日をあけて二つ目の質問をしたら、見事「移動する」、「移動しない」と答えました。
本当に行動経済学っておもしろい。
実験の結果通りの答えが返ってきます。
解説をすると、1問目でも2問目でも、10分の移動で500円の得するのです。
時給に換算すると3000円ですから、年収に換算すると624万円の価値があるわけです。
日本人の平均年収は400万円ですから、悪い額ではありません。
むしろラッキーです。
ですが、2問目ではあまり変化を感じず、移動をしないという選択をとってしまうのです。
ビリギャルをご覧になった人は分かると思いますが、勉強をし始めたころは成績がぐんっと上がります。
問題も比較的やさしいからです。
ですが、勉強を進めていくと、内容が難しくなり、成績が思うように上がらなくなり、やめたくなってしまうのです。
私も経験があるのですが、サッカーをやっていたので、リフティングを良くしていました。
最初はすぐに回数が増えて、楽しいです。
たった1回増えるだけでも大きいからです。9回と10回、19回と20回は違います。
しかし、954回と955回はそんな大した差ではありません。
ここまでくると1回最高記録が伸びたからといって初期ほどの嬉しさがあるかというとそんなことはないわけです。
このように、どのくらい変化を感じるかで、人の行動や心理は大きく変わります。
下手すると、人生すらも変える可能性があります。
損失回避
人間は得よりも損失に敏感な生き物です。
進化の過程上、得をするよりも、危険を起こさない方が身を守ることができたからです。
問題1
確実に900ドル手に入る。または、90%の確率で1000ドルもらえる。
問題2
確実に900ドル失う。または、90%の確実で、1000ドル失う。
それぞれどちらを選びますか?
ちなみにこれは友人にまだ試していません。
1問目では900ドル。2問目では1000ドルの方を選んだのではないでしょうか?
人は損失を避けたい時はリスクを背負い、得したい時は、リスクを避けます。
だから、この二つの問題でさえ答えが分かれてしまうのです。
合理的に考えるとどちらも同じ答えを選ぶべきなのです。
それがそうとはならない。
これが損失回避です。
これが、一番分かりやすいですね。
プロスペクト理論をまとめると、
リスクを伴う選択肢があるときは、
・参照点
・感応度逓減性
・損失回避
で選択肢を選ぶということです。
まとめ
今回は、ファスト&スロー(下)を簡単に要約しました。
正直話すとまだまだ終わりません。
この記事も7ページ(25,000文字)は軽くいくでしょう。
興味がある人は本を読んでみてください。
この本は924円で買うことができます。
ほら、「25,000文字」という参照点のおかげでより安く感じたでしょ。
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