今回は「インデックス投資は勝者のゲーム」の解説をします。
こちらの著者はジョン・ボーグルという方です。
資産運用を少し勉強した人は「バンガード」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
厚切りジェイソンがVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)をすすめていたこともあり、知っている人も増えたと思います。
VTIはバンガードという会社が提供しているETFです。
このバンガード社を創業した人が著者のジョン・ボーグルさんです。
ジョン・ボーグルさんはインデックスファンドの父とも言われ、米国で初めてインデックスファンドを作った人です。
わかりやすくいうと、インデックスファンド界のバッハといったところでしょうか。
バッハは音楽の父と言われていますからね。
ジョン・ボーグル氏が2018年に出された本が「インデックス投資は勝者のゲーム」です。
一言でこの本をまとめると、投資の常識をわかりやすく、データをもとに解説してある本です。
まだ、運用のこと詳しく知らない人とか、自分の運用のやり方に不安がある人とかはぜひ読んでいただきたい一冊となっています。
しかし、投資の本は少し難しいですよね。
そこで今回は、できるだけ噛み砕いて解説をしてきます。
では、早速インデックス運河へ出航しましょう。
インデックスファンド vs アクティブファンド
インデックスファンドは何かの指数と同じ結果を目指すファンドです。
例えば、VOOはアメリカの代表的な企業500社を指数化した「S&P500指数」に連動する米国ETFです。
対してアクティブファンドは、市場平均を上回る結果を求めるファンドです。
こう聞くと、アクティブファンドの方が良さそうだと思いますが、実際はそうではありません。
アクティブファンドはインデックスファンドより2%リターンが劣ると言われています。
2011〜2016年の15年間の調査によると90%以上のアクティブ運用はインデックス運用の結果に届いていないのです。
さらにアクティブ運用は頻繁に株式を入れ替えるため手数料がかかります。
多くの経費を払いながら、少ないリターンをえているのです。
1970年から2016年の調査で、80%のアクティブファンドは消えたと言われています。
もちろん、一部では結果を出しているものもありますが、確実に勝っているといえるファンドは355本中2本です。
これを見つけるのは難しすぎます。
だから、市場と同等の結果を出すインデックスファンドが良いのです。
一方で、短期では結果を残す可能性はあります。
しかし、短期で運用しようとすると、コストが多くかかります。何回も売買を繰り返すからです。
なので長期保有する、インデックスが良いでしょう。
コストについては後で詳しく話します。
できる限り分散せよ。
投資の神様、ウォーレン・バフェットはこう言いました。
「卵は一つのカゴに盛るな」
わかりやすくいうと、カゴが落ちた時に全てがダメになる可能性があるので、卵を分けることでリスクを減らすということです。
S&P500は過去25年間で9.1%のリターンを生み出していますが、個別株投資家は2%少ない7%しかリターンを得ていないという研究があります。
つまり、S&P500の75%ほどしかリターンを得ていないのです。
これを見ると、できるだけ分散させて、S&P500のような指数に連動させることが投資で利益を得る、一番シンプルで安定した方法だと言えます。
また、株式だけ保有するのではなく債券も組み合わせて保有することで、安定させることが可能です。
若い人は債券の比率は少なく、年を重ねることに債券の比率を増やしていくと良いでしょう。
どれくらいかというと株式80〜20%、債券20〜80%くらいをすすめています。
さらに、テーマファンドも避けるべきです。
確かに、個別株よりも多くの会社の株を保有することになるので、分散されていると思うかもしれません。
しかし、これは一つのカゴに卵をもるのと同じです。
例えば、飲食業界を集めたファンドがあったとしましょう。
コロナ前は良かったかもしれませんが、一度にほとんどの会社はダメージを受けました。
飲食会社の卵が入ったカゴが落ちてしまったのです。
もう一つ良い例がITバブルの崩壊です。
ITファンドが盛り上がりすぎたため、かなり株価が下落しました。
暴落する前は人気でグングン株価は上昇していました。
それが、何かの弾みで一気に下落したのです。
これも一つのカゴに卵を入れていた良い例です。
ここでもう一つ忘れてはいけない教訓があります。
それは、「人気があるときに取得するのは最悪のタイミング」だということです。
テーマファンドは人気によって一時的にものすごい上昇することがあります。
これで、まだ伸びると思って買ったら暴落して損をしてしまうのです。
例えば、YouTubeを今から始めるのは難しいと言う人が多いと思います。
それはYouTubeがあまりにも人気なって、開設チャンネルがものすごく多くなっているからです。
もちろん、YouTubeを始めるなとは言いません。
ただ、以前よりも伸びにくいとは思います。
人気テーマファンドと同じように多くの人がすでに参加しているからです。
テーマファンドも同じような現象が起きているのです。
だから、テーマファンドは避けるべきです。
ですが、これを聞くと「短期投資ならいけるのでは?」と思う人もいるでしょう。
短期投資もあまりやるべきではないと思います。
理由は3つです。
・上昇するファンドを見つけるのは難しい。
・大きなリターンは得にくい。
・コストがかかる。
上昇するファンドを見つけるのは難しい。
本書ではこのように書かれています。
長期にわたって株式市場に勝つ投資信託を選びだそうとすることは、セルバンテスの言葉を借りれば、「枯れ草の山で針を探す」ようなものである。そこで、注意勧告。「枯れ草の山で針を探すな。枯れ草を買え」
ジョン・C・ボーグル. インデックス投資は勝者のゲーム ──株式市場から利益を得る常識的方法 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1354-1356). Kindle 版.
長期だと書いてありますが、短期的にも同じだと私は思います。
確かにテクニカル分析を使って短期で取引している人もいます。
高橋ダンさんがそうです。
ですが、高橋ダンも基本的には長期をベースにやっていますし、ウォール街で経験を積んだからこそできるのです。
また、チャートだけではなく、世界のニュースにも影響されます。
これらを分析するのは至難の業だと思います。
だから、短期で儲けようと思わない方が良いでしょう。
ウォーレン・バフェットとジェフ・ベゾスの言葉を紹介しておきます。
「ゆっくりとお金持ちになるのはかなり簡単です。しかし、すぐにお金持ちになるのは簡単なことではありません。」
By ウォーレン・バフェット
ウォーレンバフェットは11歳の時から投資を初めていますが、今持っている資産の99%は50代以降に稼いだと言われています。
「ゆっくりはスムーズ。スムーズは速い」
By ジェフ・ベゾス Amazon CEO
大きなリターンは得にくい。
1900年〜2016年までの投資リターン(長期)は10年平均9.0%です。
S&P500の9.1%と近い数字です。
しかし、投機的リターン(短期)は10年平均0.5%です。
確かに0.5%は大金だと意味があるでしょうが、そんな大金を持っている人はここの記事を読んでいないと思います。
1億かけても50万円ですからね。
1億を減らすリスクと、50万を得る確率を考えると、やっぱり長期にまわすべきだと思います。
コストがかかる。
これは次の章で解説しましょう。
コストはパフォーマンスを予測する最強の要素
株式投資を始めると様々なコストがかかります。
購入手数料や信託手数料などがあります。
長期投資をするにあたって一番大事なのが、経費率です。
経費率
経費率が高いものを選んでいる場合、すでに敗者のゲームになっています。
例えば、年間の市場リターンが7%で手数料が1%で、100万円を50年運用したとしましょう。
・7%の場合(手数料を抜く前) : 2946万円
・6%の場合(手数料を抜いた後): 1842万円
約1,100万円の差が生まれるわけです。
私たちは積み立てで長期運用する人が多いですから、積み立てバージョンでもみてみましょうか。
毎月5万円を50年積み立てると仮定して計算してみました。
・7%の場合(手数料を抜く前) : 2億7000万円
・6%の場合(手数料を抜いた後): 1億9000万円
手数料が1%あるだけで、約8000万円の差が生まれてしまうのです。
毎月の運用が多い人はもっと得られるはずの資金があるということです。
だから、厚切りジェイソンさんも経費率の低いVTIを購入されているのです。
複利は味方につければ最強ですが、敵にまわすと最悪です。
鬼滅の刃の禰󠄀豆子や上弦の壱みたいな感じですかね。
禰󠄀豆子が敵になっていたら、とんでもないことになっていたと思います。
これと同じで、複利は敵にまわさないようにしましょう。
購入手数料
株式は売買する数が増えれば増えるほどコストがかかります。
何度も買っては売ってを繰り返していたら、購入手数料がかさんでしまてリターンを減らしてしまいます。
一度買ったら売らないくらいでいましょう。
個別株でなければ、永遠に持ち続けることは可能だと思います。
税金
先ほど一度買ったら売らないと話しました。
売ったときに出た利益には税金がかかります。
しかし、売らなければ税金はかかりません。
だから、厚切りジェイソンさんも以前買っていたS&P500に連動するファンドは売らずに放置しているのです。
とにかくとられるお金を減らすことが、資産運用では重要です。
資産運用じゃなくても大事か。
100年先も(同じ銘柄・投資信託に)愛を誓う
投資の世界はゼロサムゲームです。
つまり、勝つ人がいれば負ける人がいるのです。
ただし、これには重要な前提が抜けています。
それは、短期で勝とうとする場合です。
しかし、長期であれば非ゼロサムゲームです。
なぜかというと、複利のマジックが存在するからです。
先ほど7%のシュミレーションをしましたね。
これが持ち続けることのメリットです。
短期的には株価は大きく上昇したり、下降したりしますが、長い目で見ると上昇しているからです。
投資で勝つ簡単な方法は、市場に連動するインデックスファンドを、永遠に保有することです。
では、インデックスファンドを長期運用するにあたり、成長するファンドをどのように見つけると良いのでしょうか?
はっきり言います。
長期にわたって勝てるファンドを見つけるのは難しいです。
タイムマシンがなければ無理でしょう。
逆に短期的に勝っているからといってそのファンドを選ぶともっとがっかりな結果になるからです。
平均回帰というものがあり、ほとんどのものは平均に落ち着きます。
2001〜2006年のリターンランキングで上位20%に入るファンドのうち、2006〜2011年もトップ20%に残ったのは15%ぼファンドのみです。
下位20%まで落ちたファンドは20%ありました。
逆に2001〜2006年に下位20%にいたファンドのうち2006〜2011年も下位20%にいたファンドは6%です。
人気になっているものを選ぶ方が、リターンは下がる可能性は高いのです。
もちろん合併・清算されたファンドもあり、2001〜2006年に下位20%にいたファンドのうち2006〜2011年に合併されたファンドがどの位置にいたかはわからないので、6%という情報だけ下位20%のファンドを選ぼうとは言えませんが、こういった結果が出ているのは事実です。
じゃあ何を基準に選ぶのか。
それは間違いなく経費率です。
どこの国が成長するかはわかりません。
確かに中国・インドが発展する可能性は高いと思いますが、優秀な学生はいい大学に行くと私は思います。
良い大学はアメリカに多いです。
こう考えると、アメリカで仕事を続ける可能性もあるのではないでしょうか。
すると、中国・インドよりもアメリカが成長するのではないかと思います。
対して、金融の専門家は過去のように成長しないと言います。
S&P500が過去の平均が約9.0%ですが、4.0%ほどに今後はなるのではと言われているいます。
やはり、どれを選ぶと良いのかは全く検討がつかないのです。
となると、経費率で選ぶのが一番安全だと思います。
まとめ
株式市場で結果を出すにはコストの低いインデックスファンドを永遠に保有することが大多数の投資家にとって最適の戦略になります。
ですが、もっと大事なことがあります。
それは自分の知識に投資をすることです。
知識への投資は常に最良の利息をもたらす。学ぶ意欲のある者に知恵はもたらされ、注意深き者に富はもたらされる。財布の中身をすべて頭脳に投じてしまえば、だれもそれを奪うことはできない。
BY ベンジャミン・フランクリン
ジョン・C・ボーグル. インデックス投資は勝者のゲーム ──株式市場から利益を得る常識的方法 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2753-2755). Kindle 版.
だからといって、セミナーなどに行く必要はありません。
ネットや本で情報や知識は得ることができます。
図書館であれば、タダでできます。
私も図書館は利用します。
逆に、図書館で借りてほしいと思ったものだけ中古やKindleで購入しています。
ぜひ、この本も図書館でかありるなり、買うなりして読んでみてください。
必ずあなたの投資の力を与えてくれます。
そうすれば、「いきなりNisaとかやるのでちょっと怖いな。そういう人は絶対損します。」なんて言われなくてすみます。(笑)
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